1. 改正に至る経済的な背景
教職福祉部の通常会計収支は、毎年前年度の繰越金を40万円ほど取崩して賄っている。
現在の繰越金残高予測では、収支は3年後にはマイナスになり、福祉部の活動の原資不足が予見される。
2. 改正の目的
教職福祉部の限りある予算と基金を有効的に活用するため、従来の活動を踏まえて伝道所に特化せず教職者全体を対象とした「医療費補助」と予防医療促進のため「健康診断補助費」に集中して補助金を支給する。
現状の慶弔・見舞金の支給内容は、医療費の補助が主で「見舞金」の意味での支給実態となっていない。
3. 改正の概要
(1)上記目的のため慶弔見舞金は廃止し、医療関係補助と予防医療対策として健康診断補助費に活動内容を集中する。
(2)医療関係補助の対象は伝道所に特化せず、原則として教会・伝道所の教師・教師試補、無任所(引退と宣教教師を除く)教師・教師試補とする。
(3)医療関係補助費の新設
①教師・教師試補、又はその配偶者が、病気または事故のため1週間以上入院するか、手術を受けるか、又はそれに相当する事情を生じた時は、個々の教会・伝道所、及び無任所の教師・教師試補からの申請内容を審査し、医療関係補助費を決定して、教会・伝道所、及び無任所の教師・教師試補に支給する。但し同一年度内において15万円を限度とする。
②現在の「医療補助金」「治療補助金」の規定は廃止し、全て医療関係補助費にて対応する。
(4)健康診断補助費の改定
教師・教師試補、又はその配偶者が、健康診断を受診した場合、請求に基づき、教会・伝道所、及び無任所の教師・教師試補に対し健康診断補助費を補助する。この場合、伝道所と無任所の教師・教師試補に対しては2万円、教会に対しては1万円の範囲で補助する。但し、特殊な検査を要し高額な費用が発生する場合、別途申請内容を協議し決定する。
(5)学資融資金は、廃止する。
奨学金基金への繰入金の見込みがないため予算対応が困難である。一般社会での奨学金制度の方が充実していることもあるが、新規に学資融資金の申し込みがないことを考慮し廃止することにした。
なお、本細則は2022年度末の時点にて融資中の者に適用することとし、2023年度以降は、新規に学資融資金の貸付は行わないこととする。
基金No1「奨学金」は、中会全体での次世代育成資金などに有効活用を検討したいと考えている。
4. 「日本キリスト教会東京中会教職福祉部規定」改定箇所の説明と改正後の対応措置
現行規定 | 改定規定案 | 改定理由と改定後の対応 |
3.事業 (イ)上記教師並びに教師試補及びその扶養家族の病気、災害その他の際に見舞金を贈る。 |
3.事業 (イ)上記教師並びに教師試補及びその扶養家族の病気または怪我の際に医療関係補助費を支給する。 |
見舞金の支給内容が医療費補助であるため見舞金の制度は廃止して新設の医療関係補助費によって対応する。 |
(ロ)同上教師並びに教師試補及びその扶養家族の死亡した際に弔慰金を贈る。 (ハ)教職者及び教職者夫人の出産の際に祝金を贈る。 (ニ)教職者の子の入学時等の学資融資。教職者又はその扶養家族の病気または事故の場合融資並びに医療補助金・治療補助金の給付。 |
(ロ)(ハ)(ニ)削除 |
(ロ)(ハ)は予算化が困難なため廃止する。 (ニ)新設の医療関係補助費にて代替対応する。 |
(ホ)伝道所に対し、その牧師または伝道師の福祉金の一部を補助する。 | (ロ) 伝道所に対し、その教師・教師試補の福祉金の一部を支給する。 |
教職者から教師・教師試補への表記変更。 内容変更なし。 |
(ヘ)伝道所に対し、その牧師または伝道師及び配偶者の健康診断受診費用を補助する。 | (ハ) 教師・教師試補、又は配偶者の健康診断受診費用を支給する。 | 健康診断受診の補助対象を伝道所に限定せずに、中会所属の教師・教師試補へ拡大した。 |
5. 「日本キリスト教会東京中会教職福祉部細則」改定箇所の説明と改正後の対応措置
現行細則 | 改定細則案 | 改定理由と改定後の対応 |
1.慶弔・見舞金 (イ)教職者又はその配偶者が、病気のため一ヵ月以上講壇を休むか、1週間以上入院するか、手術を受けるか、又はそれに相当する事情を生じた時は、同一傷病につき、金5万円の見舞金を贈る。 但し同一年度内において金15万円を限度とする。なお多額の医療費等を要した場合には、委員会の決議により、金15万円を限度として追加見舞金を贈ることができる。 |
1.医療関係補助費 (イ)教師・教師試補、又はその扶養家族が、病気または怪我のため1週間以上入院するか、手術を受けるか、又はそれに相当する事情を生じた時は、個々の教会・伝道所、及び無任所の教師・教師試補からの申請に基づいて内容を審査し、5万円の範囲内で医療関係補助費を決定後、教会・伝道所、及び無任所の教師・教師試補に支給する。但し同一年度内において15万円を限度とする。 |
見舞金は一律5万円だが、医療関係補助費は5万円の範囲内で申請内容に応じて補助する。 見舞金の申請者を教会・伝道所、及び無任所の教師・教師試補と明確にした。 同一年度内において15万円まで補助できる点は変更なし。
通常会計が不足する場合は、基金No3「教職の特別医療補助費」 (「医療補助基金」に改名予定」)にて補填する。 |
(ロ)欠番 (ハ)教職者又はその配偶者が死去した時は、弔慰金として金7万円を贈る。 (ニ)その他の家族の場合、(イ)から(ハ)の贈呈額の75%とする。 (ホ)教職者及び教職者夫人の出産の時は金6万円を贈る。 |
(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)削除 | 予算化が困難なため廃止する。 |
2. 貸付金・医療費・治療補助金 (イ)貸与金 教職者又はその家族が病気、出産、または事故に遭った場合、金60万円以内を無利息で貸与できる。 但し、返済の期間は6年以内とし、返済方法は毎年その6分の1を12月末日までに返済するものとする。 (ロ)医療補助金 伝道所の教職者又はその配偶者が保険(健康保険・国民健康保険)の適用外の特殊の治療を受けた場合の費用のうち、年間60万円を限度に最長2ヵ年、医療補助金を給付する。教職者のその他の家族については、教職者の給付額の75%とする。本補助金の給付を受ける者は(イ)に定める貸付を同時に受けることはできない。 (ハ)治療補助金 伝道所の教職者又はその配偶者が病気又は負傷により、入院その他治療が満3ヵ月を越え長期に及んだ場合、4ヵ月以降1日1,600円の治療補助金日数割りを最長2ヵ年を限度に給付する。その他の家族については、教職者の給付額の75%とする。 (ニ)医療補助金・治療補助金の原則外適用諸般の事情により経済的困難な教会については、申し出があった場合協議のうえ適用することができる。 |
2. 全文削除 |
予算化が困難なため廃止する。 新設の医療関係補助費にて代替対応する。 |
3.健康診断費用補助 (イ)伝道所の教職者又はその配偶者が、健康診断を受診した場合、請求に基づき一人当たり7万円の範囲で補助する。但し,特殊な検査を要し高額な費用が発生する場合、別途配慮する。 |
2.健康診断補助費 (イ)教師・教師試補、又はその配偶者が、健康診断を受診した場合、請求に基づき、教会・伝道所、及び無任所の教師・教師試補に対し健康診断補助費を支給する。 この場合、伝道所と無任所の教師・教師試補に対しては2万円、教会に対しては1万円の範囲で支給する。但し、特殊な検査を要し高額な費用が発生する場合、別途申請内容を協議し決定する。 |
対象を伝道所から教会・伝道所、及び無任所の教師・教師試補に拡大した。 教会に比べて伝道所、及び無任所の教師・教師試補への補助を手厚くした。 |
4.福祉金及び社会保険加入補助金 (イ)福祉金 伝道所に対し、教職者の福祉金の一部として年金5万円を補助する。但し、 ①その教職者が兼任の伝道所を除く ②4.(ロ)項の社会保険加入補助金を受けている場合は除く。 |
3.福祉金及び社会保険加入補助金 (イ)福祉金 伝道所に対し、教師・教師試補の福祉金の一部として年5万円を補助する。但し、 ①その教師・教師試補が兼任の伝道所を除く ②4→3.(ロ)の社会保険加入補助金を受けている場合は除く。 |
教職者から教師・教師試補への表記変更。 内容変更なし。 |
(ロ)社会保険加入補助金 伝道所の教職者の社会保険(健康保険・厚生年金)加入に伴う負担金増については、必要に応じて補助金を増額することができる。 |
(ロ)社会保険加入補助金 伝道所の教師・教師試補の社会保険(健康保険・厚生年金)加入に伴う負担金増については、必要に応じて補助金を増額することができる。 |
教職者から教職・教職試補への表記変更。 内容変更なし。 |
5.学資融資金 |
5.学資融資金 追記 本細則は2022年度末の時点にて融資中の者に適用することとし、2023年度以降は、新規に学資融資金の貸付は行わないこととする。 |
今後の奨学金基金への繰入金見込みの可能性がなく予算化が困難なため廃止する。 新規の融資はやめるという意味。 |
(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の「教職者」 | (イ)(ロ)(ハ)(ニ)の「教師・教師試補」 | 表記変更。 |
日本キリスト教会東京中会教職福祉部規定
制定 1965年第14回定期中会
改正 1999年第48回定期中会
改正 2005年第54回定期中会
改正 2006年第55回定期中会
改正 2012年第61回定期中会
1.名称 この部は、日本キリスト教会東京中会教職福祉部という。
2.目的 この部は、日本キリスト教会東京中会所属の教師並びに教師試補の福祉厚生のことを行う。
3.事業 この部は、上記の目的を達成するために、下記の事項の実施に当たる。
(イ) 上記教師並びに教師試補及びその扶養家族の病気、災害その他の際に見舞金を贈る。
(ロ) 同上教師並びに教師試補及びその扶養家族の死亡した際に弔慰金を贈る。
(ハ) 教職者及び教職者夫人の出産の際に祝金を贈る。
(ニ) 教職者の子の入学時等の学資融資。教職者又はその扶養家族の病気または事故の場合融資並びに医療補助金・治療補助金の給付。
(ホ) 伝道所に対し、その牧師または伝道師の福祉金の一部を補助する。
(ヘ) 伝道所に対し、その牧師または伝道師及び配偶者の健康診断受診費用を補助する。
(ト) 伝道所に対し、その牧師または伝道師の退職時に、特に補助が必要と認めれる場合、退職謝儀の一部を補助することができる。並びに、伝道所の牧師ま たは伝道師の謝儀について検討し、必要と認める時は緊急支援を行うことがで きる。この財源として退職謝儀積立基金を充てる。なお、その不足資金を得るために中会常置委員会の議を経て随時募金をすることができる。
(チ)その他、教職福祉の推進のために必要な調査研究を行う。以上各項は、別に定める細則によってこれを行う。
4.委員 この部の目的を達成するために、委員4名を置く。委員は東京中会において選挙され、委員長、書記、会計は互選によって定める、また、必要に従って、委員外に事務嘱託を置くことができる。
5.経費 この部の会計は東京中会各教会、伝道所からの維持献金と団体及び個人の献金による。緊急に予算以上のものを必要とする場合には募金をすることができる。
6.中会との関係 委員会は、毎年の計画を立て、予算を作成して、決算と共に、これを中会に提出する。
7.規定改正 この規定は、中会において出席議員の過半数の賛成を得て改正することができる。
日本キリスト教会東京中会教職福祉部細則
制定 1965年第14回定期中会
改正 1999年第48回定期中会
改正 2000年第49回定期中会
改正 2002年第51回定期中会
改正 2004年第53回定期中会
改正 2005年第54回定期中会
改正 2006年第55回定期中会
改正 2012年第61回定期中会
改正 2016年第65回定期中会
1.慶弔・見舞金
(イ) 教職者又はその配偶者が、病気のため一ヵ月以上講壇を休むか、1週間以上入院するか、手術を受けるか、又はそれに相当する事情を生じた時は、同一傷病につき、金5万円の見舞金を贈る。
但し同一年度内において金15万円を限度とする。なお多額の医療費等を要した場合には、委員会の決議により、金15万円を限度として追加見舞金を贈ることができる。
(ロ) 欠番
(ハ) 教職者又はその配偶者が死去した時は、弔慰金として金7万円を贈る。
(ニ) その他の家族の場合、(イ)から(ハ)の贈呈額の75%とする。
(ホ) 教職者及び教職者夫人の出産の時は金6万円を贈る。
2. 貸付金・医療費・治療補助金
(イ) 貸与金
教職者又はその家族が病気、出産、または事故に遭った場合、金60万円以内を無利息で貸与できる。
但し、返済の期間は6年以内とし、返済方法は毎年その6分の1を12月末日までに返済するものとする。
(ロ) 医療補助金
伝道所の教職者又はその配偶者が保険(健康保険・国民健康保険)の適用外の特殊の治療を受けた場合の費用のうち、年間60万円を限度に最長2ヵ年、医療補助金を給付する。教職者のその他の家族については、教職者の給付額の75%とする。本補助金の給付を受ける者は(イ)に定める貸付を同時に受けることはできない。
(ハ) 治療補助金
伝道所の教職者又はその配偶者が病気又は負傷により、入院その他治療が満3ヵ月を越え長期に及んだ場合、4ヵ月以降1日1,600円の治療補助金日数割りを最長2ヵ年を限度に給付する。その他の家族については、教職者の給付額の75%とする。
(ニ) 医療補助金・治療補助金の原則外適用
諸般の事情により経済的困難な教会については、申し出があった場合協議のうえ適用することができる。
3.健康診断費用補助
(イ) 伝道所の教職者又はその配偶者が、健康診断を受診した場合、請求に基づき一人当たり7万円の範囲で補助する。但し,特殊な検査を要し高額な費用が発生する場合、別途配慮する。
4.福祉金及び社会保険加入補助金
(イ) 福祉金
伝道所に対し、教職者の福祉金の一部として年金5万円を補助する。但し、
①その教職者が兼任の伝道所を除く
②4.(ロ)項の社会保険加入補助金を受けている場合は除く。
(ロ) 社会保険加入補助金
伝道所の教職者の社会保険(健康保険・厚生年金)加入に伴う負担金増については、必要に応じて補助金を増額することができる。
5.学資融資金
(イ) 教職者の子が大学・短大・専門学校等に進学するに際しての学資融資金は一時金60万円、分割融資金40万円(年額10万円)合わせて100万円以内とし、卒業後10年以内に返済するものとする。 その返済方法は、年間10万円の分割払いとする。但し最初の6ヵ月は据え置き期間とし、以後6ヵ月毎に5万円もしくは、年一括10万円の返済とし、何れの場合も無利息とする。貸付および返済はすべて、指定された口座に払い込んで行う。
(ロ) 貸付対象者および返済手続き
貸付対象者は教職者のことし、本人は卒業後3ヵ月前迄に、書面により返済予定を提出するものとする。
(ハ) 返済の猶予
教職者の子が日本キリスト教会の教職を志して,日本キリスト教会神学校、その他の神学校・神学大学等に入学した場合又は、その卒業後疾病・入院等の事由で返済に困難を生じた場合には、本人の申請により返済の猶予を行うことができる。
(二) 返済の免除
教職者の子が日本キリスト教会の教職になった場合は、本人の申請に基づき本学資融資金の返済を全額免除することができる。また、教職者の子が死去した場合も全額免除とすることができる。
6.退職謝儀並びに教職謝儀最低基準に基づく緊急支援
中会教職福祉部規定3項(ト)により伝道所の牧師又は伝道師の退職謝儀及び謝儀の補助を実施するにあたっては、「東京中会教職退職謝儀補助制度実施要領」並びに「東京中会伝道所教職謝儀最低基準取扱要領」による。
東京中会教職退職謝儀補助制度実施要領
制定2006年第55回定期中会
改正2012年第61回定期中会
改正2018年第67回定期中会
1.東京中会に所属する伝道所の牧師又は伝道師がその伝道所の職を退く場合に(他の教会・伝道所への異動を含む)、中会は退職謝儀を補助することができる。
2. 当該伝道所が用意する退職謝儀が下記3.の基準に満たない場合、申し出により補助することができる。
3.基準は、23万円 × 当該伝道所在職年数とする。
4.補助額は原則として、伝道所が用意する退職謝儀(それまでの積立金に、退職に際しての伝道所内の募金を加えたもの)の2倍以内とする。
5.伝道所は、退職謝儀資金計画を添えて、教職福祉部委員会に退職謝儀補助の申請を行う。これを受けて教職福祉部委員会は中会常置委員会と協議を経て補助を決定する。
6.伝道所以外の教会から、この規定の準用の申し出があった時は、中会に諮るものとする。
7.この補助制度の資金運用については、次に掲げるものを原資とする。
①退職謝儀積立基金
②特別献金
8.この制度の運用は教職福祉部委員会に委任する。
東京中会伝道所教職謝儀最低基準取扱実施要領
制定2012年第61回定期中会
1.教職福祉部委員会は謝儀最低基準(月額)を検討し、中会に提案して了承を得て定める。
2.東京中会に所属する伝道所の牧師又は伝道師の謝儀が上記1.の基準に満たない場合であって緊急の支援が必要であるときは、当該伝道所の申し出により補助することができる。
3.補助額は、伝道所の正式な申請後中会伝道局及び中会常置委員会と協議を経て決定する。
4.この補助制度の運用開始に当たり、次の三項(①~③)を原資とする。
1. 退職謝儀積立基金
2. 特別献金
3. 基金No.2(社会保険加入促進)2,020,000円から移管する。
5.伝道所以外の教会についても、この規定の準用の申し出があった場合には、中会に諮る。
6.この制度の運用は教職福祉部委員会に委任する。